研究会報告

病院ブランディング研究会は月に1度、全12回の予定で、定期的に研究会を開催しています。
毎回、座長の岩堀幸司氏の講演に加えて、メンバー企業による企業プレゼンテーションや病院の建築、施設設備、周辺技術に携わるその道のエキスパートの方をお招きしての講演を実施しています。

2010年レポート

2009年レポート

第3回

(2010年6月18日)

講師:吉澤伸記氏
  財団法人建築環境・省エネルギー機構 建築研究部課長
  一級建築士
テーマ:CASBEE(建築環境総合性能評価システム)の概要と活用方法
現在、さまざまな立場の人々が環境に貢献できる建物を造ろうとしているが、その実どの建物が「環境」に良いのか、分かりにくい状況になっている。この現況を鑑みて、建築物の環境側面を様々な角度から捉え、総合的に評価するためのシステムとして開発されたのが「CASBEE」である。一部の自治体では一定規模以上の建物を造るときに、CASBEEによる評価の届出が義務付けされている。また、コンペ・プロポーザル、設計業務発注等の際にも、CASBEEの評価結果を提出させる動きも活発になってきており、CASBEE活用の機会はますます拡大してきている。

岩堀幸司氏
テーマ:省エネルギーと建築
病院は建てた時点で建築費や医療機械の購入費等による借金を負う。また、公立、私立に限らず、近年病院は収益性・事業性を重視するようになった。そこで、設計者や施工者は選考の際のプレゼンテーションの場でさまざまなLCC(ライフサイクルコスト)低減のための提案をする。そのとき、単に「コストが抑えられますよ」ではなく、具体的な数字を示すことが当たり前になってきている。イニシャルコスト、ランニングコストをどれだけ低減できるかは、設計者・施工者だけでは捉えにくい。今後はメーカーと協力し合って、発注者に提案する際に使える緻密なデータを作成していく必要がある。


第2回

(2010年5月21日)

岩堀幸司氏
テーマ:感染への配慮と病院建築

院内感染によって発生するコストが経営に与える損害は大きい。感染への対応で重要な点は、場所によって求められる清浄度が異なることを理解し、適切な設備投資を行うことである。オーバースペックな設備は、経営にさらなる負担を強いる結果を招く。今回は建築の側面、設備の側面、医療の側面から、感染への対応を紹介する。
また、医療の視点からの感染対策だけでは不十分であり、施設管理(FM:ファシリティ・マネジメント)の観点からも感染対策を考えることが有効なのではないだろうか。



第1回

(2010年4月16日)

岩堀幸司氏
テーマ:地域医療 ―自治体病院の抱える問題と病院建築発注―

自治体病院の多くが赤字経営という状況の中で、相変わらず身の丈に合わない投資を行おうとする病院が少なくない。経営に負担をかける計画は、必然的に病院で働く医師や看護師への負担を強いることになり、彼らは少ない人員で多くの患者を診ることになる。いくら新しく、立派な病院でもこれでは医師・看護師が逃げてしまう。発注者には、自らが最大の責任者である、という自覚を持って設計者・施工者を選択することが求められている。


Copyright (C) 2009 Universal Design Consortium All Rights Reserved.