病院ブランディングの実践 - 救急医療

時間との戦いにおいて、救急医療の「知覚化」は特に大切です。秒単位で症状が変化するため、現場での適切な処置が患者の命運を握ります。緊急時において、「素早い通報」「素早い蘇生処置」「素早い搬送」「素早い診療」の4つを「救命の連鎖」と呼びますが、病院の使命は「素早い搬送」を受けて「素早い診療」を実行することです。災害時、複数の重症者がいる場合には「救命できる可能性が高く、より重症な患者」が最優先とされるトリアージを行います。

「素早い診療」を行うためには、中央診察部門のゾーニングや動線をわかりやすく「知覚化」しなければなりません。そして検査室や手術室、ICU、CCU、HCUを機能的でアクセスしやすくします。平面移動とともに、エレベータや搬送など垂直移動の動線にも無駄は許されません。

地域連携の「知覚化」も欠かせません。日本の救急医療体制は、二次医療圏までで対応しており、重症度に応じて「初期救急医療」、「二次救急医療」、「中規模救急病院」、「三次救急医療」に振り分けます。病院としては、例えば2次・3次救急医療を中心に、他の病院との協力関係を保ちながら、救急患者を常時円滑に受け入れる体制を備えています。こうしたシステムを患者や医療スタッフ、地域が日頃から認知することで緊急時や災害時の混乱を最小限に抑えます。

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